2時間目の授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。
私は重たい体をベッドから半ば無理やりはがして、布団をきれいに畳む。囲っていたカーテンを少し押しやって出た。
「小沢さん、もう大丈夫なの?」
「…はい」
葛城先生の問いに、私は頷いた。
本当は多少よくなった程度だけど。でもここにいつまでもいてはいけないから。
「2時間分、休ませて頂いたので。もう教室に戻ります」
保健室で休めるのは、2時間という決まりがある。それ以上の場合は、帰宅しなければならない。
帰宅するのは、せっかくここまで付き添ってくれた先生に申し訳ないし。どうしても授業を受けられないほど、ひどい症状でもない。
おまけに最近は何回かここにお世話になってしまっているから、単位の数も多少心配だし。
「……分かったよ。また体調が悪くなれば、おいで」
「はい、ありがとうございました」
頭を下げてお辞儀をし、自分の鞄を持って部屋を出た。
* * *
「――綾香、保健室にいたんでしょ。もう平気なの?」
自分の席に座ると、由理ちゃんが駆け寄ってきてくれた。
「心配かけてごめんね。大丈夫だよ」
「そっか、よかった」
「あ、今日の英語と日本史のノート見せてもらっていいかな?」
「いいよー。忘れないうちに今渡すよ、ちょっと待ってね」
机から2冊のノートを抜き出して、手渡してくれた。
「ありがとう。明日の朝までに返すね」
「その代わり、またテスト前に綾香がまとめたノート見せてねー」
「ん、もちろん」
私は書いて覚えるタイプなので、テスト前になると要点をまとめた自分専用のノートをいつも作っていた。
あるとき、私がテスト前に自分のノートを見てると、ちょっと貸してと声をかけてきたのが由理ちゃんで。それ以来、何度かノートを見せていた。
〔チャイムの音が鳴る〕
「――皆、席つけー」
3時間目の教師が教室に入ってきた。
これ以上は休んでいられない。残りの授業4時間、乗り越えないと…。