● 「恋心を目覚めさせる方法」 --- 休息を終えて ●

 2時間目の授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。
 私は重たい体をベッドから半ば無理やりはがして、布団をきれいに畳む。囲っていたカーテンを少し押しやって出た。


「小沢さん、もう大丈夫なの?」
「…はい」
 葛城先生の問いに、私は頷いた。
 本当は多少よくなった程度だけど。でもここにいつまでもいてはいけないから。

「2時間分、休ませて頂いたので。もう教室に戻ります」
 保健室で休めるのは、2時間という決まりがある。それ以上の場合は、帰宅しなければならない。

 帰宅するのは、せっかくここまで付き添ってくれた先生に申し訳ないし。どうしても授業を受けられないほど、ひどい症状でもない。
 おまけに最近は何回かここにお世話になってしまっているから、単位の数も多少心配だし。

「……分かったよ。また体調が悪くなれば、おいで」
「はい、ありがとうございました」
 頭を下げてお辞儀をし、自分の鞄を持って部屋を出た。

* * *

「――綾香、保健室にいたんでしょ。もう平気なの?」
 自分の席に座ると、由理ちゃんが駆け寄ってきてくれた。
「心配かけてごめんね。大丈夫だよ」
「そっか、よかった」
「あ、今日の英語と日本史のノート見せてもらっていいかな?」
「いいよー。忘れないうちに今渡すよ、ちょっと待ってね」
 机から2冊のノートを抜き出して、手渡してくれた。

「ありがとう。明日の朝までに返すね」
「その代わり、またテスト前に綾香がまとめたノート見せてねー」
「ん、もちろん」
 私は書いて覚えるタイプなので、テスト前になると要点をまとめた自分専用のノートをいつも作っていた。
 あるとき、私がテスト前に自分のノートを見てると、ちょっと貸してと声をかけてきたのが由理ちゃんで。それ以来、何度かノートを見せていた。

〔チャイムの音が鳴る〕
「――皆、席つけー」
 3時間目の教師が教室に入ってきた。
 これ以上は休んでいられない。残りの授業4時間、乗り越えないと…。

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