● 「恋心を目覚めさせる方法」 --- 想いを捨て去る ●

 誰かに愛されたいというこころが芽生えたら、解決方法は2つある。

 1つは自分に磨きをかけて、愛されたいと思う人のために努力をすること。
 もう1つは──その愛されたいと思うこころを捨ててしまうこと。

 私は2年以上も、自分の想いを捨ててきた。
 だって愛されたいという努力は必ず報われるとは限らなくて…
 傷つく確率の方が圧倒的に高いんだもの。
 もうこれ以上、傷つくことはイヤだった。

 どんなに願っても、きっと届くことはない。
 誰かに愛してもらえるかもしれないという希望の光は、とっくに消えてしまった。


 自分を変えようと努力はしてはみたけれど…
 それでも結局、過去に縛られて動けなってしまうの。
 もう私は、人のこころを信じられなくなっていたから……。
 人のこころを信じられない私が、どうして誰かを愛せる?
 どうして愛してもらえる?

 ──そんな結論を出した私は、想いを捨てることにした。
 想いを捨てることは、結構楽なものだった。
 もちろん一度捨てたらといって、全部なくなるものじゃない。
 そんな簡単に捨てられるものだったら、
 最初からそんなに大事なものじゃなかったってことなんだから。


 こころという器に一滴一滴、想いのしずくが溜まっていく。
 それがたくさん溜まったら、溢れる前にどこかに捨てるの。
 代わりに、別の何かへの気持ちを満たしてあげて。
 捨てた想いは気がついたら、また器に溜まってしまうから…
 そうしたら、また溢れる前に捨てる。それの繰り返し。

 何度もしていると、また自分でも気づかないうちに…
 想いは時間に癒されて、薄れていく。
 ここまでくると、だいぶ楽になれるの。
 時間はかかってしまうけれど、傷つくことを考えればずっと楽だった。

 こころが傷つくだびに、器にヒビが入っていく。
 ヒビが深くなってしまうと、想いを抑えることが難しくなってしまう 。
 特に、私の器はもうかなり脆くなってしまっている。
 これ以上傷ついたら、壊れてしまう怖れがあるくらいに。
 ……だから壊れる前に、私は傷つくことから遠ざかったの。


 ──それなのに…
 まさかこんな私を大きく揺るがす起こるだなんて。
 全然、考えてもみなかった……。

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